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ベトナム最大のカフェチェーン、ハイランズコーヒー(Highlands Coffee)について

ベトナム最大のカフェチェーンとして、現地のライフスタイルと密接に結びついたビジネス展開を行っているハイランズコーヒー(Highlands Coffee)。

2024年時点でベトナム国内で800店舗、フィリピンで43店舗を展開し、ベトナム国内で圧倒的な知名度を誇る同カフェチェーンはどのように成長を続けてきたのでしょうか。


創業者:デイビッド・タイ(David Thai)

ハイランズコーヒーの創業者であるデイビッド・タイ氏は、1972年にベトナムで生まれ、1979年に家族と共にアメリカ・シアトルへ移住しました。

​彼はワシントン大学で経営学を学びましたが、ベトナム文化への関心から哲学に転向し、1996年に奨学金を得てベトナムに戻りました。​

ベトナムでの生活を通じて、彼は自国の文化や人々とのつながりを深め、最終的にビジネスを通じてベトナムの価値を世界に伝えることを目指しました。


事業の発展と現在の規模

1999年、デイビッド・タイ氏はハノイでハイランズコーヒーを設立。​海外在住のベトナム人がベトナム国内で初めて私企業を登録した例となりました。創業​当初はパッケージコーヒーの製造・販売から始まり、2002年にはホーチミン市のサイゴン大教会前に初のカフェ店舗をオープンしました。

2009年までに、ハイランズコーヒーはハノイ、ホーチミン市、ハイフォン、ダナン、ブンタウ、ドンナイなど6つの都市・省で80店舗を展開しました。​その後も拡大を続け、2018年にはベトナム国内で230店舗を運営するまでに成長しました。


国際展開と提携

2011年、ハイランズコーヒーはフォーのチェーン店「Phở 24」を約2,000万ドルで買収しました。

​翌2012年には、フィリピンの大手ファストフード企業ジョリビー・フーズ・コーポレーション(Jollibee Foods Corporation)に50%の株式を2,500万ドルで売却し、戦略的パートナーシップを築きました。

​2024年現在、ハイランズコーヒーはベトナム国内で800店舗、フィリピンで43店舗を展開しています。


最新の動向

2024年、ハイランズコーヒーは年間利益が1兆ベトナムドン(約4,100万ドル)を超え、堅調な業績を維持しています。​

また、同年には南部ベトナムに1,900万ドルを投じた焙煎工場を新設し、地元農家と協力してベトナム産コーヒーの品質向上と供給体制の強化を図っています。​


ブランド戦略と特徴

ハイランズコーヒーは、ベトナムの伝統的な「フィン(Phin)」抽出法を取り入れたコーヒーや、若者向けのフラペチーノ風ドリンク「Freeze」など、多様な商品ラインナップを展開しています。

​また、ロイヤルティプログラムやSNSを活用したマーケティング戦略により、幅広い顧客層の獲得に成功しています。​店舗デザインにもこだわり、現代的な要素とベトナム文化を融合させた空間を提供しています。


ベトナムブランドとしての誇り

デイビッド・タイ氏は、ハイランズコーヒーがジョリビーとの提携後もベトナムブランドであることを強調しています。​ジョリビーは戦略的アドバイザーとして関与しており、日々の運営はハイランズコーヒー自身が行っています。

​デイビッド・タイ氏は、過去に米国の大手コーヒーチェーンであるスターバックスから買収提案を受けたことを明かしています。​彼はこの提案を受け入れれば「非常に裕福な人物になれた」と述べていますが、スターバックスが買収後のハイランズコーヒーに対する明確なビジョンを持っていなかったことや、スターバックス自身のブランド展開を優先する姿勢を理由に、最終的にこの提案を断ったとされています。 ​

具体的な買収提案額については公表されておらず、詳細な金額は明らかにされていません。​しかし、彼の発言からは、経済的には非常に魅力的なオファーであったことがうかがえます。


今後の展開と海外市場への進出とブランド強化

​フィリピンでの店舗展開に加え、今後は他の東南アジア諸国や欧米市場への進出を視野に入れています。​これにより、ベトナム発のブランドとしての存在感を世界に広めることを目指しています。

​2022年には、「Highlands Coffee® Is Ours」という新たなブランドスローガンを導入。​ロゴや店舗デザイン、ユニフォームなどを刷新し、地域コミュニティとのつながりを強調するブランド戦略を展開しています。

また新業態として、従来の店舗に加えガソリンスタンド併設の「ミニキャビン型店舗」やテイクアウト専門の小型店舗を導入。​これにより、初期投資を抑えつつ、柔軟な立地選定が可能となり、ブランドの認知度向上と運営コストの削減を実現しています。

ハイランズコーヒーは、国内外での店舗拡大、製造体制の強化、多様な商品開発、デジタルマーケティングの推進、地域コミュニティとの連携を通じて、ベトナム発のグローバルブランドとしての地位を確立しつつあります。​今後も、伝統と革新を融合させた戦略で、さらなる成長が期待されます。

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