ベトナムには約30~40社の大手コングロマリット企業が存在すると考えられています。これらの企業は、複数の産業にわたって事業を展開し、国内外で影響力を持っています。
主要なコングロマリットには、不動産、リテール、通信、製造業、エネルギー、金融など幅広い分野で活動する企業が多く含まれます。これらの企業は、ベトナム経済の発展を支え、国際的にも競争力を持つ存在として成長しています。
また、これらの企業の多くは、ベトナム国内での市場拡大だけでなく、海外市場への進出にも積極的です。企業数は正確な統計が難しいものの、影響力のある大手コングロマリット企業は数十社規模で存在していると見られます。
一方で、成長の中で経済の不確実性や国際的な競争、環境問題への対応など、新たな課題にも直面しています。全体として、ベトナムのコングロマリット企業は、強力な成長を維持しつつ、新たな挑戦に対応している段階です。
ベトナムのコングロマリット企業が成長している主な要因は、以下のような複合的な要素によるものです。
◆経済成長と市場の拡大
ベトナムは近年、年平均6-7%の経済成長率を維持しており、これにより国内市場が拡大しました。特に都市化や中間層の拡大に伴い、消費財、不動産、リテール、サービス業への需要が増加しています。このような経済環境が、企業の成長を後押ししました。
◆政府の政策支援
政府は民間企業の成長を促進するために、規制緩和やインフラ整備、外資誘致などの政策を推進しています。特に、民間企業の成長を支援するための経済改革(ドイモイ政策)や、外国直接投資(FDI)の促進が重要な役割を果たしました。これにより、コングロマリット企業は国内外での事業展開を加速させることができました。
◆多角化戦略
ベトナムのコングロマリット企業は、リスク分散と成長のために多角化を進めてきました。不動産、リテール、製造業、サービス業など、多岐にわたる分野で事業を展開し、複数の収益源を確保しています。この多角化戦略が、企業の安定した成長を支えています。
◆外資との提携と技術導入
外国企業との提携や合弁事業を通じて、最新の技術や経営ノウハウを導入することで、競争力を高めてきました。例えば、VingroupのVinFastは、ドイツやアメリカの技術パートナーと連携して電気自動車市場に参入しました。このような外資との協力が、ベトナム企業の成長を加速させました。
◆インフラの改善と物流の発展
政府によるインフラ整備の進展により、輸送や物流の効率が向上しました。これにより、製造業やリテール業などの企業は、より広範囲な市場にアクセスできるようになり、事業の拡大が進みました。また、インフラ整備に伴う建設需要が、建設や建材関連企業の成長を促しました。
◆国際展開
ベトナム企業は、国内市場の成長に留まらず、国際展開にも積極的に取り組んでいます。特にASEAN地域やアフリカ、ヨーロッパ、アメリカなどに進出する企業が増加しており、新たな市場での成長を追求しています。これにより、国内市場のリスクを分散させると同時に、グローバルな競争力を強化しています。
◆労働力とコスト競争力
ベトナムは、若くて豊富な労働力を有しており、比較的低い労働コストが企業の競争力を高めています。特に製造業においては、このコスト競争力が企業の成長に大きく寄与しています。また、教育の向上により、技術力や生産性も向上しています。
◆デジタル化と技術革新
ベトナム企業は、デジタル化や技術革新を積極的に取り入れており、これが成長の新たなドライバーとなっています。例えば、通信や金融、リテール業界では、デジタルプラットフォームの導入が進んでおり、効率性や顧客満足度の向上に寄与しています。
◆消費者志向の変化
ベトナムの消費者は、品質やブランドに対する意識が高まり、健康志向やエコ志向も強まっています。これに応じて、企業は製品やサービスの差別化を図り、消費者ニーズに応えることで市場シェアを拡大しています。
◆新興産業への投資
ベトナム企業は、新興産業への投資を積極的に行っています。特に、再生可能エネルギーや電気自動車、スマートシティなど、将来性のある分野に注力することで、長期的な成長を目指しています。
これらの要因が組み合わさることで、ベトナムのコングロマリット企業は急速に成長し、国内外でのプレゼンスを高めています。
その中でもベトナムを代表する大手コングロマリット企業10社を簡単に紹介します。これらの企業は、ベトナムの経済成長を牽引し、多様な分野で事業を展開しています。
1. Vingroup
1993年に設立され、当初は不動産事業を中心に展開。その後、自動車や電子機器分野(VinFast、VinSmart)に進出し、国内外で成長を続けています。
事業内容: 不動産、リテール、観光・娯楽、健康、教育、自動車製造などを展開。主要ブランドにはVinhomes(不動産開発)、VinMart(リテール)、Vinpearl(観光・リゾート)などがあります。
企業規模: ベトナム最大の民間企業で、総資産は約200億米ドル。
今後の成長見込み: VinFastの電気自動車事業の拡大と、国際市場への進出が注目されています。また、再生可能エネルギーやスマートシティ開発への投資も進行中です。
2. Masan Group
1996年に設立され、食品・飲料分野を中心に急成長。その後、鉱業(Nui Phao鉱山)やリテール(WinCommerce)にも進出しています。
事業内容: 食品・飲料、鉱業、リテール、銀行など多岐にわたる事業を展開。Masan Consumerは、インスタント食品や調味料で有名。
企業規模: 総資産約60億米ドル。
今後の成長見込み: 消費者プラットフォームの拡大、リテールのデジタルトランスフォーメーション、テクノロジー関連事業での成長が期待されています。
3. Viettel Group
1989年に設立され、通信事業で急成長。現在ではアジア、アフリカにおいても事業を展開しています。
事業内容: 通信、IT、軍事、リテール、金融などを展開。ベトナム最大の通信事業者として知られる。
企業規模: 総資産約300億米ドル。
今後の成長見込み: 5Gインフラの構築や国際展開、デジタルサービスの拡充が進んでいます。また、AIやIoT分野への投資も加速しています。
4. Hoa Phat Group
1992年に設立され、鉄鋼業界で急成長。国内外の建設プロジェクトに広く参入しています。
事業内容: 鉄鋼、建材、農業、家具製造など。特に鉄鋼分野で国内最大手。
企業規模: 総資産約150億米ドル。
今後の成長見込み: 鉄鋼需要の増加に伴い、製造能力の強化が進行中。インフラ開発プロジェクトにも積極的に参入しています。
5. PetroVietnam (Vietnam Oil and Gas Group)
1975年設立。ベトナムの主要エネルギー供給源として発展しています。
事業内容: 石油・ガスの探査、採掘、精製、販売。電力や化学分野にも進出。
企業規模: 総資産約500億米ドル。
今後の成長見込み: 再生可能エネルギー分野での拡大が期待され、特にLNGや風力発電分野での成長が見込まれています。
6. FLC Group
2001年設立。当初は不動産事業を中心に展開し、その後、観光・リゾートと航空事業で急成長しています。
事業内容: 不動産開発、観光・リゾート、航空(Bamboo Airways)、農業、教育などを展開。
企業規模: 総資産約20億米ドル。
今後の成長見込み: Bamboo Airwaysの国際展開や、観光・リゾート事業での拡大が期待されています。
7. Novaland Group
1992年設立。不動産市場の成長に伴い、事業規模を拡大し、現在では国内有数のデベロッパーです。
事業内容: 不動産開発、特に住宅、商業施設、リゾート開発を展開。ホーチミン市を中心に多くのプロジェクトを手がけています。
企業規模: 総資産約100億米ドル。
今後の成長見込み: 観光地の開発プロジェクトやリゾート事業の拡大が進んでおり、国内外での成長が期待されています。
8. TH Group
2009年に設立され、乳製品市場で急成長。特に健康志向の製品が人気です。
事業内容: 乳製品の生産・販売、農業、健康・教育分野での事業展開。TH True Milkブランドが有名。
企業規模: 総資産約25億米ドル。
今後の成長見込み: 海外市場への輸出拡大や、新製品開発による市場拡大が見込まれています。
9. Sovico Group
1992年設立。航空事業で急成長し、金融や不動産事業にも進出しています。
事業内容: 航空、金融、不動産、エネルギーなどを展開。VietJet AirやHDBankが有名。
企業規模: 総資産約30億米ドル。
今後の成長見込み: 航空業界の回復と共に、国内外での事業拡大が進んでいます。また、エネルギー分野への新規参入も注目されています。
10. Vietnam Rubber Group (VRG)
1975年設立。ベトナムの主要輸出産業の一つとして発展をしています。
事業内容: ゴムの栽培、加工、販売。国内最大のゴム生産者であり、関連製品の輸出も行っています。
企業規模: 総資産約100億米ドル。
今後の成長見込み: ゴム製品の需要拡大に伴い、製造能力の強化と新規市場への進出が期待されています。
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